世界的な貿易摩擦の激化と景気減速が
わが国の経済に困難をもたらす状況が続いています。
このような状況下で政府は
経済のダイナミズムを高めることに特別に重きを置き、
新成長エンジンの創出と経済活力の向上に努めています。
政府は、製造業ルネサンス戦略と新産業の育成、
第2のベンチャーブーム拡散に政策能力を集中させています。
大企業と中小企業との共存共栄・労使協力の雰囲気をつくり、
公正経済の生態系を構築することも
経済的ダイナミズムの環境と条件を整えることです。
包容性の強化により、二極化や不平等を解消し、
社会統合の基盤を強化することも
持続可能なダイナミック経済へと向かう道のりです。
ダイナミック経済へと進むには
何より民間に活力が生まれなければなりません。
そのために政府は企業の声に耳を傾け、
困難を解消するための努力を
より積極的に行う必要があります。
労働時間の短縮についても、従業員300人以上の企業では
比較的、定着に成功したものとみられますが、
来年度から50人以上の企業でも実施されることについては
経済界で懸念が高まっています。
企業がこれに備えられるよう、
弾力的労働時間制度などを補完した法案の国会での可決が急務です。
政府・与党間の協議や国会に対する説得などを通して
早急な立法に向けて全力を尽くすようお願いします。
それだけでなく、万が一、法案が成立しなかった場合のことも
考えておかなければなりません。
政府の実態調査に基づいて
国会での法案成立が無くとも政府として実行できる対策を
予め模索するようお願いします。
規制の革新も、さらに迅速に行わなければなりません。
データ3法などの中核法案の成立が
遅れていることは残念ですが、
法案可決前にでも、下位法令の優先的整備、
積極的な有権解釈と指針の改定などを通じて
実質的効果を創出できる対策づくりを
特にお願いします。
数日後には、日本による輸出規制が始まってから
100日となります。
これまでは、政府や企業の迅速かつ全方位的な対応、
さらに国民の応援が一つとなって
概ね順調に対処できており、
輸入先の多角化や技術の自立化、大企業と中小企業との共存共栄・協力など
様々な面で有意義な成果をも生み出しています。
挑戦をチャンスとすることで
わが国の産業構造を抜本的に変える転機になれば
わが国経済の体質や競争力の強化に
大いに役立つと考えられます。
さらに速度を上げてください。
材料・部品・装備特別法が速やかに国会で可決できるよう、
国会との疎通を強化し
企業に対する財政・税制・金融的支援にも
あらゆる方面から乗り出すべきです。
3日後には、経済副総理を司令塔とする
材料・部品・装備競争力委員会が本格的に始動します。
政府政策と産業の現場をつなぎ、力を集めるコントロールタワーとして
中核産業の競争力を画期的に高めることに
最善を尽くすよう、お願いします。